母と暮らせば

観てきました。
とても、佳い作品だった…。
「町子がね!?」は相葉ちゃん思い出してちょっとフフフって思っちゃったけど^^ゞ
以下、大きなネタバレはないですが、ちょこちょこ漏れるかも…な感想少し。


いちばん衝撃的だったのは、やっぱり原爆投下のシーンで。
事前番組で、インク瓶が溶ける描写だけでそれを表現する、と聞いていたけれど、
閃光からのインク瓶、よりもその後のスクリーンがクラッシュした時間が、とても長くて。“とても”といってもほんの2〜3秒だったのかもしれないけれど、このクラッシュした画面の中、熱風に吹き飛ばされたり無数のガラスの破片が飛んできたり倒壊した建物が身体の上に幾重にも落ちてきたり…たくさんの人たちをいっぺんに想像を絶する苦痛が襲い続けてるんだと思うと、なんだかすっごく長い時間に思えてしまった。

舞台が長崎なのでね、坂の上のおうちからの風景や、キリスト教のお墓や仏壇(あ、仏様じゃないか、祭壇??)がたくさん出てきて、それが生々しさを緩和してくれてる気がしたよ。監督のこだわってる衣服のほころびなんかはすごくリアルなのに、遺影の前のロウソクが洋風なキャンドル1本っていうだけで、ちょっと“滅入る”感が軽くなるというか…少しファンタジー要素が強まるというか。ヒロシマを扱ったものを見てきたから、そう思うのかもだけど。

浩二くんがね、生前は医大生の息子らしいぶっきらぼうな口ぶりなのに、
霊になって現れてからは、優しく語りかけたり拗ねたり泣いたり…とても素直にお母さんに接しているのがね、印象的。
本来の姿はそうでも、生きてるときはなかなか素直に見せられないものなのかもなぁ。
とにかくもう、終始、母目線で見てしまったよぅ。
私は、息子にこんなふうに語れる思い出をたくさん残してやれてるのかなぁ…なんて反省したりして。

優しくて儚げなお母さんだけど、それだけじゃない。ちゃんとつよくて少ししたたかな面もあって、やっぱり息子がいちばん可愛いからすっごく本音のところでは町子が幸せになることに黒い感情だって湧く…というのもまたリアルで。でも、小百合さんだからそれが全然イヤな感じにならないのがすごいなぁ、とも思った。イヤな感じどころか哀しくて切なくなるもの。
霊だから、決して触れられなかった浩ちゃんと、しっかりと手を取れたときには、あたたかな気持ちになれたよ。

霊となった浩二は、快活に笑っていてもどこか悲しげで、
あぁ、にの、うまいなぁ・・・って何度も唸っちゃった。
正直言うと、戦争や原爆を扱った作品は、一度見たらもう充分って気持ちになるのだけど、この作品に限っては、また観たいな、と思ったよ。
にの、佳い作品に出合わせてくれて、
佳い作品にしてくれて、ありがとう。

【2015年の今日はこんな日でした】